【身近な職人】英検1級を活かし翻訳を仕事に(阿部貴史さん)

グローバル人材インタビュー
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こんにちは!南アフリカの自動車マーケッター x 海外MBAホルダーのマサ (@mappyinME) です。

今回は「身近な職人を紹介してあなたと繋げる」企画の第1弾です!

日常生活でちょっとしたことで困る場面ってありますよね。

「ちゃんとしたプロフィール写真を撮りたいけど、業者さんに頼むのが面倒」
「ちょっとした英語の翻訳を依頼したいけど、ネットで依頼や支払いなど面倒」
「筋トレを始めてみたいけど、パーソナルトレーナーは高い。先ずは身近で教えてくれる人がいたらいいな」

僕の人生35年間の中で構築したネットワークから、ちょっとした困りごとの相談から仕事の依頼が出来る職人を紹介するコーナーです。

第1弾は、「英語の特許翻訳」を生業としている阿部貴史(あべたかふみ)さんです。

彼は、僕が大学時代に所属していた英字新聞編集委員会の後輩で、ほぼ同時期に英検1級を取得した仲です。

それでは見ていきましょう。

【身近な職人】英検1級を活かし翻訳を仕事に

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阿部さんの経歴


写真提供:本人より

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1987年生まれ、東京都出身。青山学院大学文学部卒業、英国バース大学大学院通訳翻訳修士課程修了。現在、都内の特許事務所にて翻訳業に従事。

神田外語大学などで翻訳に関する講演を行う。共訳書に『師としてのリスト 弟子ゲレリヒが伝える素顔のマスタークラス』(音楽之友社)がある。翻訳業の傍ら、ピアノソロ・アンサンブルの演奏活動を行う。イギリス・スペインにて演奏経験あり。

英語関連の保有資格は、英検1級、TOEIC935点、IELTS 7.0。
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翻訳の仕事を選んだ理由は「ピアノ」のため


写真:Zoomインタビュー(左:阿部さん、右:筆者)

最初は商社など人気企業の選考を受けるも違和感が

大学院を卒業する際に就職活動をしましたが、周りと同じように商社などの人気企業を受けていました。

しかし、選考が進めば進むほど、「この仕事は自分が本当にやりたいことか?」という気持ちが強くなっていきました。

自分が本当にやりたいことを改めて考えてみると、幼少期から続けていたピアノでした。

ピアノは、特に大学入学以降、コンクールを受けたりリサイタルを開いたりするほど本格的に取り組んでいたことから、自分自身のアイデンティティの一つとなっていました。

そのため、ピアノに打ち込む時間を確保しながら、得意な語学を活かせる仕事が何であるかと考えた結果、「特許翻訳」という仕事に行きつきました。

そこで、新卒で翻訳者を募集している特許事務所に就職しました。

「寄らば大樹の陰」 大企業に寄り添うリスク

「どうせ働くなら、手に職をつけたい」

こう考えた理由は、2009年にリーマンショックが起きたためです。

僕が就職活動を始めたのはリーマンショックの数年先ですが、当時は潰れるはずがないと思われていたリーマンブラザーズが潰れ、今後は大企業で働いても安心できないと騒がれていました。

このことから、専門性もやりたいこともないまま大企業に入社し、寄りかかって生きるのは高リスクであると強く感じていました。

特許翻訳という仕事は、将来にわたって継続的・安定的に需要が見込まれ、その専門性の高さから独立できる可能性もあるので、ベストな選択だと考えました。

「音楽x翻訳」人材の希少性

もう1点、「音楽と翻訳」の両方に精通している人材は、そこまで多くないと思います。

少なくとも、外国語を学ぶ必要性が他国ほど高くない島国の日本では、希少性の高い人材です。

希少価値を高めることで、他と替えが利かない人材となり、失職する可能性も少なくなります。

まとめ

・周りに流されて人気の大企業に入社するのは高リスク
・やりたいことをしっかり考えて就職活動をするのが大事
・どのような人材になりたいか、軸をちゃんと持つべき

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積極的な発信から共訳書を出版

半年ほど前、共訳書『師としてのリスト』を出版しましたが、これはまさに自分の考えていた「音楽x翻訳」の領域の仕事でした。

どのような経緯で出版に至ったか、説明していきます。

✓きっかけは積極的な情報発信とネットワーク

四年ほど前、知人であるピアニストの内藤晃さん(監訳者)から、上記の本を一緒に訳してみないかとお誘いを頂きました。

もちろん、断る理由がなかったため了承したのですが、そもそもなぜ声を掛けていただいたかというと、SNSのお陰であったと思っています。

内藤さんとは、友人の紹介で2012年に知り合って、その後もSNSでときどきやり取りを続けていました。

SNSでは、ピアノや語学に関することを中心に投稿していました。

また、「自分の生きた証をこの世に残したい」と漠然ながら考えており、その1つとして「音楽関連の翻訳書を出版したい」ということを日頃から周りに話していました。

以上のような情報発信によって、共訳書を出すという僥倖を得られたのだと思います。

本を出版するまで

共訳書なので、2人で分担して翻訳作業を進めていきました。

翻訳作業は、ただ英文を日本語に訳すだけではありません。

原著がドイツ語で書かれているので、その英訳書をベースに翻訳を進めていきました。
そのため、必要であればドイツ語の原文も参照するという地道な作業も繰り返し行いました。

この地道な作業を、3カ月にわたって100ページ分行いました。

監訳者とのすり合わせ、補い合い

翻訳作業を一通り終えたあと、お互いの翻訳した箇所について、内容のすり合わせ・校正を行いました。

具体的には、内容に矛盾がないか確認したり、表記を統一したりすることで、訳文に違和感が出ないようにします。

この過程においては、お互いのもっている良さを活かすことができたと感じています。

例えば、僕は、細かいところに気が付きやすい性質を活かして、半角・全角の表記揺れや数字の間違え等、誤記を次々になくしていきました。

一方、内藤さんは、豊富な知識を活かして、原文中で内容が矛盾する箇所を発見したり、興味深い内容の訳注を加えたりしました。

このように、お互いが意見を出し合い、妥協せずに進めたからこそ、自信をもって世に出せる翻訳書が出版することができたと思っています。

校正時の1日のスケジュール

校正時の一日のスケジュールは以下のようなものでした。

平日

※「会社」とありますが、これはリモート勤務のことを指します。

土日

共訳書の出版を終えて

正直なところ、こういった出版関係の仕事は、金銭的な見返りが多いとは言い難いものです。

それでも、やりがいを持って取り組めたのは、いつか「音楽の翻訳書を出したい」という目標があったためです。

この長年の目標が達成できたことは、本当に感慨深いです。

まとめ

・大事なこと3つ。「ネットワーキング」、「SNS発信」、「やりたいことを周りに発信する」
・1人よりもチームで事に取り組む方が品質は高まる
・金銭面以外のところで高いモチベーションを持つことは大事

阿部さんの共訳書の紹介

阿部さんが共訳したのは、『師としてのリスト』という翻訳書です。まさに「音楽x翻訳」のプロフェッショナルを体現した出版物であると言えます。

ご興味がある方はご購入どうぞ。


英検1級を取得した勉強法

シンプルな勉強法

僕は大学3年から約2年の学習期間を経て英検1級を取得しました。

学習方法は、以下に示すように、非常にシンプルなものです。

第1段階「単語帳を利用して語彙力を増やし、過去問をひたすら解く」→頭打ち
第2段階「実践的な英語に触れる。NewsweekやTimeを購読しBBCを聴く」

NewsweekやTimeは、英検1級よりも難しい語彙が使われているため、文章の難易度も高いです。
そこで、「Newsweek等の内容がきちんと理解できれば英検1級の問題も解けるはず」という仮説の基で、学習に取り組みました。

この第2段階の学習を数か月続けたあと、改めて過去問を解いてみました。すると、以前より易しく感じました。

過去問で合格水準の点を取れるようになってから、本試験に再挑戦してみたところ(過去3度不合格でした)、無事に合格できました。

英語学習のきっかけは「劣等感」

このように、大学3年生になってから英語学習に本格的に取り組んだのですが、それは「劣等感」からでした。

英語のクラス分けテスト(Placement Test)で最上位クラスに振り分けられたのですが、周りは帰国子女だらけ。

そのクラスで「自分は底辺だ」と強烈に感じたことで劣等感を抱え、大学1・2年生の時は学習意欲が下がってしまいました。

しかし、大学3年の頃、「このままだといけない、何も変わらない」と思ってからは本腰を入れ始め、世間で有名な英検1級を目指すことにしました。

まとめ

・英語学習で大事なのは、シンプルな学習を継続すること
・劣等感は、行動して自信をつけないと払拭できない

(参考)英国バース大学の情報、文系大学院進学のメリット・デメリット

先ず参考までに、阿部さんの通っていたバース大学の情報も記載しておきます。

バース大学の通訳翻訳(Interpreting and Translating)専攻の情報

・大学:University of Bath
・学部:Faculty of Humanities & Social Sciences
・専攻:Interpreting and Translating
・国:イギリス
・期間:12カ月
・学費:約200万円

興味ある方は、こちらをご参照ください。

※ただし、現在では、日英通訳翻訳のコースは開講されていないようです。

✓文系の大学院進学のメリット、デメリット

メリットは、応募要件として修士号が求められる仕事に就けるということです。たとえば、大学の教員や、一部の高校の教員などです。

一方でデメリットは、学部生に比べて2年就職が遅れるということでしょう。

特に一般企業では、大学の新卒を一から育てていくことが慣習化しているので、文系の院卒はなかなか評価されないというのが現実です。

【阿部さんに相談・依頼を希望の方】(お気軽にどうぞ!)


写真提供:本人より

阿部さんが受け付けている翻訳範囲は以下の通りです。

相談・依頼可能なこと

(1)特許明細書および中間処理書類(分野:機械、電気電子)の翻訳
(2)クラシック音楽に関する記事や書籍の翻訳
(3)その他、ちょっとした翻訳の依頼(例:論文やレポートの部分英訳)

※いずれも日本語→英語、英語→日本語

なお費用は依頼内容によるので、阿部さんと要相談にて。
阿部さんに依頼するメリットは、ネットで探して依頼する手間がなく安心、というところですね。

相談・依頼は、僕のTwitterかコメントにダイレクトメールにお願いいたします。

まとめ

阿部さんは自身の軸もしっかり確立し、専門性を磨くための努力を惜しみません。

加えてSNSで発信し、人に会い、やりたいことを愚直に伝える。そのような姿勢で他者から信頼を得て、共訳の依頼を得ることができたのではないでしょうか?

さいごに

いかがでしたか?

結果を出した阿部さんも、行動し、小さな一歩を積み重ねたため翻訳出版の機会を得ることが出来ました。

皆さんも、やってみたいことがあれば、小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

キャリアの半分が海外勤務のビジネスパーソン。
▶大手グローバル自動車メーカー勤務、現在は南アフリカでマーケティング部長▶SNSマーケティングやSEO、ウェブライティングに強い▶海外5か国で7年以上勤務し、訪問国は50か国以上▶ieビジネススクールでEMBA取得▶英検1級・TOEIC925点、アラビア語中級▶海外勤務で使える資格を11個保有▶グローバルキャリアをサポートするコミュニティを運営

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