もはや南アフリカでは日常の溶け込んでいる停電(Load shedding)について解説します。
南アフリカでは長く電力供給不足が続いている一方、経済成長から電力需要が増大しています。
結果、需要が供給を上回る見込みがあるときは、重要なビジネス集積エリアを除いた民間施設の電気が一定時間カットされてしまうのです。
なぜそのような事態が恒常化しているのでしょうか?
停電が起きた時の注意事項、事前に出来る準備を紹介していきます。
こんな方におススメの記事です。
・南アフリカに旅行に行こうと考えている人
・南アフリカに赴任の予定がある人
早速見ていきましょう。
【必読】南アフリカ生活 頻発する停電の理由2つと対策5つ(現役駐在員が解説)
基礎知識編
なぜ南アフリカで電力不足が起きるのか。理由3つと停電ステージ
南アフリカで筆者撮影
実は南アフリカですが、2000年代前半までは停電はなく、初めて行ったのが2007年とされています。
そこからは改善することなく、2022年後半からは大規模な発電所が稼働をストップした事により、深刻な電力不足に陥るようになりました。
そもそも、この停電はなぜ起こるのでしょうか?
理由1:南アフリカの電力需要アップ
南アフリカがアフリカ内で最も工業化が進んでおり、経済が成長していることによる需要が増大していることです。
以下のグラフは、南アフリカの電力消費と、将来の予想です。いずれにせよ、伸びていきますね。
■南アフリカの電力需要と予想
出所:Department of Energy South Africa (2017)
理由2:南アフリカでの電力供給の停滞
次に供給サイドですが、南アフリカの電力の95%は1922年設立の国営電力会社のESKOM社(Electricity Supply Commission)が担っており、南アフリカ電力の88%は石炭(Coal)による火力発電で賄われています。
■南アフリカの電力供給源
出所:IEA
ESKOM社は国営電力供給会社です。
日経新聞(2020年12月)によると、”ズマ前大統領の長年にわたる汚職と放漫経営の結果、コストの高騰、収入の落ち込み、故障が頻発する石炭火力発電所、膨張する負債など、厄介な問題が山積みしている”とあり、供給回復は短期に見込めそうにありません。
需要が供給を上回っている状況に加えて季節的な要因、つまり夏や冬にエアコン等家庭の電力需要が上がると計画停電、という事になります。
なお、JETRO(2021年6月)によると、“ラマポーザ現大統領(2021年11月現在)は、ライセンス免除の対象となる自家発電量を、従来の1MWから100MWに引き上げ、かつESCOM社管理下の国家送電網に供給する事を認める”と発表しました。
今後、供給が回復していくといいですね。(遠い目)
理由3:設備の老朽化
エスコムの電力不足の原因の一つに、設備の老朽化が大きな問題となっています。
予算不足によるメンテナンス不足に加え、計画性のない無理な稼働を強制しているが故、故障が頻発しています。
一説によると、国の電力を全て賄うだけの発電所は存在するものの、フル稼働が難しいため電力が供給できなくなっているとのことです。
理由3:南アフリカで蔓延る腐敗
南アフリカで電力需要が伸びており、今後も伸びていくと分かっているのに供給が改善されないのでしょうか?
理由は、「南アフリカの電力会社Eskomの腐敗による」という噂が絶えません。
実際に、南アフリカで電力供給強化のためのプロジェクトは何回も提案、承認されているそうです。
ただ、予算が承認されいざ実行するとなる時には、プロジェクト用に確保していた予算が、どこかに消えてしまって予算不足となって実行に移されないとか・・・。
南アフリカの停電ステージ
南アフリカでは需給バランスにより、停電のレベルが頻度や時間で分けられています。
以下、ステージ1~8について。
■停電のステージ(8段階)
出所:ESKOM社ウェブサイトより筆者作成
現在ステージ2ですが、パソコンの充電が切れ会議に参加できない、Wi-Fiが届かない等、致命的ではないもののビジネスに支障を来しています。
ステージ5以上になると、恐らく仕事どころではなくなります。
停電から守られているビジネスエリアがあるので、そこで仕事したり、生活に必要な充電も行うしかなさそうです。
そして夜は街が真っ暗になるため、略奪や強盗などの治安上の不安も起こってきます。
なおこちらは2021年11月時点の情報なので、渡航の際はESKOM社のウェブサイトで情報収集をおススメします。
実践編
停電中の南アフリカ生活はどうなる?
家の中の生活
我が家のルーティンは以下の通りです。
2. 1~2分経過すると自家発電機が作動し、復旧。
3. これの繰り返し
自家発電機がない住居だと、電気もWi-Fiもなくなるためロウソクを用いて江戸時代のような時間を過ごすことができるそうです。
最初の数回は非日常に興奮するそうですが、次第にイライラしてくるそうです。
自家発電機がない住居の場合、停電前にパソコンのバッテリーはフル充電するか、事前にモバイルバッテリーを用意おきましょう。(“モバイルバッテリー”でおススメ紹介)
外出中の対応
車で外を走っていると信号が消えているため、徐行します。
特に暗くなってからの計画停電の場合、信号自体が存在しているかどうかかなり見分けづらいため、細心の注意を払いましょう。
南アフリカに来る前の準備5つ(停電対策)
対策1:自家発電機があるかどうか確認
大事なポイントは、エレベータ等の公共スペースだけではなく、ビル全体に適用されるかどうかです。
必ずホテル、ビルのオーナーや不動産会社に確認しましょう。
対策2:停電中のセキュリティ
停電中に、家の門やアラーム、高圧電流が計画停電にどのように対応しているか確認しましょう。
対策3:アプリのダウンロード
計画停電の時間を予め教えてくれるアプリです。
EskomSePush(リンク)というアプリがあるので南アフリカに渡航前にダウンロードしておきましょう。
もしくは、以下のESKOM社ウェブサイト(リンク)でもステージを確認する事ができます。
対策4:ポケットWi-Fiも準備
観光の渡航であれば必要に応じて借りるのが良いと思いますが、業務出張の場合は空港でWi-Fiを借りて、赴任者は着任地の会社にポケットWi-Fiを必ず用意してもらいましょう。
対策5:モバイルバッテリーを購入
絶対必要です。複数持っていくとよいです。
状況に応じたおススメなバッテリーを紹介するので、良ければどうぞ。
■携帯のみ、軽量手軽
→軽いうえ、iPhone 1~2回フル充電可。頑丈で長持ち。愛用しています。
■携帯・パソコン充電可(超おススメ)
→これは神。南アフリカだけでなく、日本の災害時にも物凄く重宝。デメリットは、1.2kgと重い事と機内持ち込みNG。機内持ち込む必要ないけど。
以下、対応PCですが、かなり幅広く対応しておりまず心配ないです(14種類PCのコネクタ同梱です)。かつ12V/20Vの出力、ポートも6つありパソコンも最低2回程度の満充電可能かつUSB出力もあるので、困らないですね。
熱が入りすぎました。笑
さいごに
いかがでしたか?
今後も、南アフリカで気付いた事は記事にしていきますので、お楽しみに。