こんにちは!南アフリカの自動車マーケッター x 海外MBAホルダーのマサ (@mappyinME) です。
世界3大宗教をご存じでしょうか?
「キリスト教」「イスラム教」「仏教」の3つを指します。
それぞれ20億人、16億人、4億人、合計40億人も存在しており、ヒンドゥー教の11億人を合わせると、合計50億人以上です。
つまり、世界人口の7/10が前述の4つの宗教を信仰して日々の生活を送っているという訳です。
日本には外国人が少ないので宗教と関わる機会は少ないですが、日本を出ると宗教だらけです。
そして程度の差こそあれ、宗教は国の生活様式や人の価値観・考え方に多大な影響を与えていることが多いです。
そのため宗教の基礎教養を身に付け、彼らの価値観、考え方や生活様式を理解する事は、海外で仕事するだけでなく、旅行する上でもとても大切です。
・宗教に関する教養を身に付けるメリット
・仕事で活かす事例
私は、1年間エジプトでアラビア語・イスラム教を学習したのち、サウジアラビアのジェッダ(「メッカ」から100kmほどの街)で1年ほど勤務。
その後、UAEのドバイで2年半ほど勤務しましたので、どっぷりとイスラム圏に漬かりました。
宗教の特性上、そして僕自身の経験からイスラム教が話の中心となりますが、イスラム教の特性さえ理解できれば他の宗教は比較的楽に理解できます。
それでは見ていきましょう。
【必読】異文化理解に宗教の教養は必要!仕事に役立つ意外な理由4つ(現役駐在員が解説)
宗教が生活に根付いているイスラム教
サウジアラビア・ジェッダで筆者撮影
宗教が最も生活様式に根付いているのは「イスラム教」です。
理由は、イスラム教が唯一、「宗教の戒律」「国家の法律」「社会の規範」の3つが全てマッチしているためです。
要するに第一法源であるコーランに書かれている事が宗教の戒律であり、それが法律でもあり、かつ生活する上での社会の規範ともなっています。
もちろんコーランで足りない部分は、第二法源のスンナ(ムハンマドの言行録)などを参考に補われています。
イスラム圏でよく聞く事件
イスラム教の教養を身に付けるという事は、現地の社会規範・生活習慣を学ぶという事と同義です。
このような教養がないばかりに、以下のような事件が良く起こります。
・UAEのドバイの公共の場で外国人同士が過度にいちゃつき逮捕、強制退国
・ラマダン中に公共の場で飲食をして注意、又は逮捕
・使徒ムハンマドの風刺画を描いて世界中のムスリムから猛抗議、脅迫状、など
特に3番目の「ムハンマドの風刺画」問題は国際的な大問題となりました。
先ず、イスラム教では偶像崇拝は死に値する罪です。
使徒ムハンマドに関しては偶像崇拝の対象になるという理由でイメージの絵を書く事すら固く禁止されています。
そんな中、2005年にデンマークの日刊紙にムハンマドの風刺画が掲載され、世界中のムスリムから大抗議が起きたというものです。
これを欧州各国の新聞社等は「表現の自由を擁護する」と言う理由で風刺画を相次いで転載しました。
詳しく知りたい方は、こちらへどうぞ。(Wikipediaですが)
「表現の自由」は結構だが、自由にはもちろん責任も付きまとう事になります
ムスリムからの反発や不買運動などはエスカレートしていき大きなツケを支払う事となりました。
宗教はどの程度、生活に根付いているのか?
イスラム教の場合
「宗教の戒律」「国家の法律」「社会の規範」の3つが全てマッチするとどうなるか?
イスラム教には「五行」という勤行を明確に特定しており、それらが「宗教の戒律」が彼らの「国家の法律」や「社会の規範」を規定しています。
・信仰告白(シャハーダ)
・礼拝(サウム)
・断食(ラマザーン)
・喜捨(ザカード)
・巡礼(ハッジ)
最もわかり易いのが「礼拝(サウム)」と「断食(ラマザーン)」ですので、もう少し詳しく説明します。
礼拝(サウム)
「礼拝」は1日5回、メッカの方向に向かってお祈りする必要があります。
仕事中であろうが、お祈りの時間になると中断して20~30分程お祈りに行きます。
なお国ごとの厳しさの程度も際立って異なっていました。
・UAE:行きたい人が行きたいときに済ます
・エジプト:行きたい人が行きたいときに済ます
・サウジ:礼拝時間にお店を開けて仕事していると宗教警察から説教(最悪、営業停止)
ドバイ空港のお祈り場所の案内図
会社でもどこでも、礼拝所を設置する事が義務付けられている。
日本でも礼拝所がある会社も存在する。(弊社)
断食(ラマザーン)
「断食」ですが、有名な「ラマダン」ですね。聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
イスラム歴(西暦より11日ほど短い)の断食月になると、ムスリムは日が昇ってから沈むまでの間は断食・断飲します。
なお旅行者や老人、妊婦や体調がすぐれない人は例外です。
そのため、断食月になると勤務時間を6時間以内にすることが法律で義務付けられています。
「宗教の戒律」が「国家の法律」を規定している例ですね。
・UAE:レストランはパーテーションを設置して飲食物提供
・エジプト:外国人はよしなに食べる
・サウジ:断食の時間中はレストラン完全停止(公共の場での飲食は一発逮捕)
ちなみにサウジ駐在しているとき、私が滞在していた代理店のラマダン中の勤務時間が以下の通りでした。
午後:22:00 ~ 2:00
これでは外資の会社も入ってこれないですよね。
これに加え、サウジではお酒、豚肉が一切輸入禁止です。
サウジが「外国人にとって世界で最もハードな国の1つ」と言われている理由がお分かり頂けるかと思います。
キリスト教の場合
正直に言って、アメリカ・南アフリカとキリスト教徒が多い国にも駐在しましたが、宗教が生活に根付いていると感じた事はほとんどありません。
理由は宗教的な特色にあります。
キリスト教では「二面性」があり、内面と外面の信仰はマッチする必要がないとされています。
要するに、内面で信仰していれば外面、例えば礼拝に全く行かないなどの行為、は問題にされないためです。
そのため、よほど敬虔な信者でない限りは、キリスト教の要素を感じ取る事はほとんどできませんでした。
異文化理解!宗教の教養を仕事でどう役立てるか?理由4つ
既に上で具体的な例を解説していますが、実際に駐在していて「宗教の知識を身に付けていてよかった」と思う事が誠に多々あったので紹介します。
理由1:不用意な発言が少なくなる
日本人でよくあるのは以下の通りです。
「イン・シャー・アッラー(神の望むままに)とは何?そういうの良いからちゃんと締め切りまでに資料作っておいて」
これはムスリムからしたらとてつもなく侮辱ですが、マジメで優秀な日本人であるほど、日本式の超マネジメント傾注思考に支配されて、仕事が遅い=お祈りしている場合じゃないだろう、という思考からの発言をしてしまうことがあります。
こうなると、信頼を失うだけでなくHRに駆け込まれて、アラブ諸国不適合の烙印が押される可能性すらあります。
理由2:不用意な行動を防げる
宗教への知識があれば不用意なタブー行動を防ぐことが出来ます。
・ラマダン中の公共の場での飲食
・公共の場で異性と過度にいちゃつく
・モスクに肌丸出しで入る
・ムスリムにハラールでないお土産を渡す
・豚肉・酒を勧める、など
こういう知識を持ち実践できると、ムスリムからは一目置かれ信頼を寄せてくれます。
理由3:マネジメントがスムーズになり、仕事で成果を出せる
誰でも、自分に興味を持ってもらって嫌な気持ちはしませんよね?
極端ではありますが、自分に興味を持ってくれる人には好感を持てるし、この人のためなら何かやってあげようとすら思います。
宗教の学習、理解も原理は同じです。
自分の宗教に興味を持ち、勉強し、理解してくれる上司となら、部下の方も安心して仕事が出来ますし、なによりモチベーションが上がるため、チームとして仕事の成果が出来るようになります。
理由4:日本でも活かせる
日本では敬虔な信者が余り多くないため余り多くは活かせませんが、一番多いのが海外からの出張者が来た時の「レストラン選び」と言った所でしょうか。
ムスリムやヒンドゥーが入り混じった大集団だと、もう収拾が付きません。
・ムスリム:ハラール料理希望、豚肉NG、酒NG、他その人の好み
・インド人:牛肉NG、そして人によってはベジタリアン
ただし事前知識があれば、事前に1人1人好みなどを把握しレストランに相談する事で国際的な対応力を身に付ける事が可能です。
【必読】この一冊は読んでおくべき
日本人のための宗教原論は全日本人に一読してほしい一冊です。
宗教に関して全く知識のない方でも比較的読みやすく纏められている本です。
自信を持って言えます。
宗教の教養を身に付けるという目的において、この1冊を読めばとばっちりです。
この本は、僕がエジプト・サウジ・UAEに駐在した際に、現地法人の社長さん(日本人)にお借りして読んだ本ですが、これ以上わかり易く説明されている宗教関連の本に出会ったことがありません。
啓典宗教である「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」を紹介するとともに、世界3大宗教「仏教」「キリスト教」「イスラム教」の3つを詳しく解説しています。
加え、日本人の宗教観についても考察を加えています。
作者の宗教に関して無知蒙昧である日本人や学者をディスり倒している姿勢もまた面白くて好きです。笑
他にも、外国人と働く上で読んでおきたい本を紹介しているので、良ければどうぞ。
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さいごに
いかがでしたか?
宗教を理解するには現地に行って肌で体感するのが一番です。
この一冊をもって、インドやアラブ圏(ドバイでもOKです)に行って、是非目の当たりにしてください!