こんにちは!南アフリカの自動車マーケッター x MBAホルダーのマサ (@mappyinME) です。
グローバルに活躍する日本人は、一体どのように機会を掴むのでしょうか?
多様化する世界で、グローバルに活躍する方法は数多く存在します。
海外駐在、海外で就職、フルリモートで海外移住、フリーランスでノマド(多拠点移住生活)、グローバル企業で海外転籍・・・枚挙に暇がありません。
今回は、海外経験がない中で英国へ移住し、現地企業で唯一の日本人として働いているピークりりさんの海外体験談をご紹介します。
・海外で職を掴む方法
・グローバルで活躍するのに必要なスキル
・日本と海外の価値観の違い
・海外に住むメリット、デメリット、苦労の克服の仕方
それでは見ていきましょう。
【体験談】海外経験なしで英国へ海外移住 就職を実現した秘訣とは(準備が10割)
①ピーク りりさんのキャリア
立教大学文学部英米文学科卒業後、国会TVのC-NETへ入社。
その後は、外資系などでPRとしての18年間の経験を積んでいます。
プラップジャパンでは、PRコンサルタントとして、政党 PR や大学ブランディング、環境コミュニケーション等を担当し、外資系人事コンサル会社マーサージャパンでは、PRが社内で1人という中(当時の従業員数 160 名)、企業 PR のみならず、社長や 30 名以上の各コンサルタントの PR も担当。
特に「人」の PR やブランディングを特に得意とし、当時の国会議員や企業のCEO、大学教授など、これまでに 100 名以上の魅力や個性を引き立て、世に伝え出してきました。
2018年1月に英国の片田舎コッツウォルズへ家族で移住するも、家族なし、友人なし、仕事なし、人脈なし、肩書きの何もない中、アイデンティティロスに陥るりりさん。
自分という数少ない残された資源を資産化するため、培ったブランディングスキルを自身に向け(セルフブランディング)、SNS発信によりサバイバルの活路を見出す。
現在は、英国クレディセイフにて勤務しながら、育児や転勤、海外移住などで自分を見失いかけた女性や、本業のスキルを活かして自分の可能性を広げようとされる国内外の方を対象に、PRで培ったノウハウを個人に向けた、自分ブランディングの創出で応援しています。
驚くことに、りりさんは海外在住経験がない中、自身でグローバルなキャリアを開拓してきました。
その秘訣を伺います。
②りりさんのお仕事
PRのプロフェッショナル。実績を認められ、英国に移住することに。
—-現在勤務されている会社(Creditsafe社)の業態とりりさんのポジション、お仕事を簡単にご紹介頂けますか?
世界最大手の英国調査会社Creditsafe社で勤務
私は今現在、世界大手の信用調査会社であるCreditsafeにて、唯一の日本人従業員として勤めています。
本社は英国ウェールズのカーディフにあり、コロナ前から、かれこれ5年間リモートワークにて就業しています。
というのは、小さな娘たちがいることと、自宅から電車でカーディフオフィスへは片道2時間かかる理由で、入社直後からリモートワークが適応されており、週5日自宅より勤務しています。
企業情報を提供するプロバイダーであるCreditsafe社は、日本を含め、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、オランダ、米国など世界14か国に25の拠点を持ち、1,300名以上の従業員が働いています。
3億6,500万件以上の企業情報を保有していて、世界で50万以上の顧客に企業情報レポートを提供しています。
日本人は1人!グローバルな職場環境
私の上司や同僚は皆、英国人(ウェールズ人)で、上司と同僚含め、10名いるインターナショナルサポートチームの1メンバーとして勤務しております。
私の仕事内容は、主に事務面でのサポートです。
世界14カ国にまたがる同僚たちからの問い合わせ対応や、企業の信用調査が終わったレポート内容の納品前確認、はたまた、企業の信用調査依頼が入った会社が登記している世界各国の、サプライヤーと言われる、実際にその国で直接調査をする企業との間で調整を図ったりといった仕事です。
現在の本社Creditsafeの勤務形態ですが、コロナ後は社員のほとんどが私のようなリモートワークへと切り替わり、出社の頻度やペースは各個人に任されている勤務体制へと変わっています。
私は2ヶ月~3ヶ月に1回、カーディフオフィスに出社しており、そこでは上司や同僚たちとパブで一緒にランチを食べたり、夕方近くにはこれまたパブで一緒にお酒を飲んだりと(笑)、リアルなコミュニケーションを楽しんでおります。
③海外に興味を持ったきっかけは?
英国に移住したりりさん。困難を努力で乗り越える名人だ。
—-りりさんは海外在住経験ない中、英国に在住を決意されました。誰にでもできる事ではないと思いますが、そもそも海外に興味を持ったきかっけを教えてください。
海外への興味は、小さい頃から洋楽を聴いたり、映画を観たりして育まれたように思います。洋楽の歌詞を理解したり、映画に出てくるような人たちと会話を取りたい一心で、英語は、留学せずとも独学で習得しました。
親の影響はと言えば、父がカーペンターズやビートルズ、アメリカのオールディーズの曲が好きだったので、それらを小さい頃から父の傍らで聴いていた影響はあると思います。
ちなみに私の両親は全く英語を話せないのですが(笑)、「英語を勉強しなさい!」とは、小さい頃から一言も言われたことはありません。
私には妹がいるのですが、同じ家庭環境で育った私の妹はアメリカ人と結婚し、現在はアメリカで永住しています。
漠然と小さい頃から将来は海外で働きたいな、海外に住みたいな、海外の人と友だちになりたいなぁ、などという思いや憧れはありましたが、まさか本当に実現するとは夢にも思っていませんでした(笑)。
海外というざっくばらんなイメージを抱いていただけでしたので、アメリカかヨーロッパなどとは特段、国を特定はしていなかったのですが、1つ共通するのは「どの国へ行っても英語が必要」ということには気付いていたので(笑)、日本で本気で英語を勉強したのは確かです。
④英国の企業に唯一の日本人として働く
—-りりさんは、英国にて、英国企業の”Creditsafe社”にて唯一の日本人として勤務されていますね。どのようなきっかけで採用されたのですか?
私は幸いなことに、Creditsafe社の日本法人で勤務していたので、2018年の英国移住へのきっかけで、本社採用をしてもらうことが出来ました。
英国本社へ勤務を実現するため、直接英国本社にて面接させてもらいたい旨を日本法人の社長に相談し、私の面接の意向を本社へ伝えて頂くことができました。
それからは、本社との面接日程の調整や、なぜ今回改めて面接を受けたいのか等の意向は、自分で一通り本社と直接行いました。
その甲斐あって、晴れて英国本社で直接面接を受けた後での正式採用とはなりましたが、面接では、本社のナンバー2、人事部長、所属先の部門長の3人がいて、彼らの前で英語で自分自身のプレゼンを行ったのには、ものすごく緊張いたしました(笑)。
⑤英国移住の当初を乗り切る
—-英国に移住したての頃は、友人、家族、仕事、肩書もなく相当に苦労されたと推察しますが、そのような逆境をどのように乗り越えたのでしょうか?
仕事も有事も得たけども、「外国人」の立場はずっとついて回る
実は、英国へ移住して5年経った今でも、乗り越えられているかと言えば、全くそうではありません。
イギリス人の友人が出来たり、イギリス現地で幸いにも、私は仕事にも就くことができました。
けれどもやはり、私は肩身の狭い外国人である事実はこれからも変わりないので、その中でいかに自分を幸せにできるかが、今後もずっと私の課題となっています。
自分を再生させる!海外で自信をつける「セルフブランディング」
そのような現実の中、ずっと自分に悲観していても仕方がないので、自分を再度再生させようと、元PRの経験を活かし、自分のブランディング展開をSNS発信を通して始めました。
この自分ブランディングによって、自分をより客観的に見ることができ、自分の強みや得意とする所、他の人との違いなどを改めて、冷静に見つめることができました。
SNS発信で自分を表現する中で、自分の発信に興味を持ってもらえたり、いいねやコメントなどのリアクションも沢山頂く機会が増え、自分に自信がついて来るという副産物まで生まれました。
この、SNS発信で自分を表現できるという自分ブランディングが楽しく、かつてアイデンティティロスに陥っていた自分を段々と活気づけられてきたという変化を、他の人たちともシェアしたく、在英セルフブランディングコンサルタントとしてパラレルキャリアを展開しています。
この展開へ発展できたことが、逆境を逆境のままで終わらせなかったこととして、自負しております。
⑥自分が”外国人”という環境で働くということ
りりさん(左から3人目)と職場の上司と同僚
—-りりさんは、周りが全員外国人という環境で働いていらっしゃいますが、その点で苦労した事はなんですか?
残業や休日出勤はマイナス?労働観の違い
まず、日本人とイギリス人では、働く姿勢や仕事への意識自体が全く違うので、そのチューニングが思いのほか難しかったです。
例えば、私が英国本社で働き始めた頃、日本にいた時のように、私は残業や休日出勤を積極的に行ったり、逆に有給休暇の消化には消極的でいました。
けれども、イギリス人にとってはそれらの評価としては全く真逆なもので、良くない事と見なされ、当初は面食らいました。
つまり、イギリスでは、残業や休日出勤はマイナス評価で、時間内に生産的に仕事を終わらすことができなかった、という自分の能力不足が指摘されるのです。
また、有給休暇の消化に消極的な姿勢にも評価としてはマイナスで、それは、ワークライフバランスが上手に取れていない人、しっかり休まないというのはしっかり仕事もメリハリをつけて出来ないのと同じ、として見なされるからです。
メール、会話、全てが日本の慣習とは異なる
また、彼ら英国人や世界14カ国にまたがる同僚たちと働いていて、ビジネスで使われる英文emailが日本の内容文と比べると極端に短く、ほぼ一文(笑)で表現されていることに気付きました。
つまり、「お世話になっております」などの冒頭文、「宜しくお願い致します」などの帰結文は一切要らず、要点と結論をいかに簡潔に一文でまとめて伝えるかという状況に気付き、この英文emailの形式や英語でまとめる力にも、慣れるのにはとても時間を要しました。
他には、上司と同僚との会話においては、冗談を言い合えたり、ビジネス会話3割、個人的な会話7割ほどの比率で、いかにお互い人間的なコミュニケーションが取れるか、というところも、日本とは違って大きな比重を占めているようにも思います。
日本での比重は真逆なので、この上司と同僚との会話内容の違いに関しても、最初とても戸惑いました。
上司と同僚、はたまたパートナー企業とのコミュニケーションを英語で取るというのは大前提で、問題は、いかに要所要所において、その英語をビジネス会話においても、個人的な小話においても、メール文においても、彼らの文化的背景をも踏まえた上で的確に適所な内容で使いこなせるかの方が大事だと思います。
⑦グローバルな環境で働いていてよかったこと
英国のオフィスで唯一の日本人従業員のりりさん。人生を豊かにすることが英国では重要視されているという。
—-苦労も多いと思いますが、一方海外で働いていて良い点もあると思います。海外で働くにはどんなメリットがありますか?
自分の主張をはっきり言える
自分の意見をはっきり遠慮なく言えるところだと思います。
周りの空気なぞ読まずに(笑)、賛成意見であっても反対意見であっても、自分の意見を堂々と言える環境があるので、物怖じせずに自分を表現させてもらえるところが有難く感じます。
人生をどれだけ豊かに送っているか。人生に向き合う時間が増えた
また、仕事よりもプライベート、家族との時間が何よりも大事という文化的背景があるので、より、自分の人生と真剣に向き合わせてもらえる時間が増えました。
有給を取った暁には、どこにバケーションに行って、どのように楽しんできたのか、という会話を、上司や同僚たちとたくさんします。そこでは、どれだけ人生を豊かに楽しんでいるかという、社会人としての、数字で評価できない「豊かさ指数」みたいなものも、彼らから感じ取られたりもします(笑)。
ですので皮肉にも、海外で働くことのメリットとして、海外なりの仕事への取り組み方や、簡潔英文emailに見られる効率的な仕事の仕方を学べるのはもちろんですが、それよりも、むしろいかに自分の人生を豊かに過ごすかという、人生の質を問われることが、私にとっては大きなメリットとなりました。
⑧グローバルな仕事を掴むために
Creditsafe社の英国本社の社内表彰”You Rock”の一コマ。上段の右側がりりさん。
—-りりさんみたいに、異国で、現地の会社に勤めたいと考える方は多くいらっしゃると思いますが、何をしてよいか分からないという方が多くいらっしゃると思います。どんな行動をし、スキルを身に付ければよいですか?
日本での準備が10割
行動に関しては、日本で準備できることはしっかり準備しておいた方がいいかもしれません。
例えば、英語の勉強ですとか、文化の違い、仕事観の違いなど、情報として得られることは事前に全て日本で準備し、習得しておいた方が良いです。
また、経験者に直接話しを聞いたりと、海外で働くキラキラしたイメージとは違う、リアルで地に足の付いた苦労話など、積極的に生の情報を収集することも大切です。
自分磨きを欠かさないことが一番大切
英国で、充実している週末の一コマ。
ソフトスキル面では、人としての魅力ある会話を英語でできれば問題ないと思います。
どんな専門性を身に付けていても、結局、人としての魅力が一番のインパクトのように思います。けれども実は、それが一番難しいかもなのですけどね(笑)。
ハードスキル面では、異論や反論、時として口論できるほどの英語力を、しっかり携えておいた方がいいかもしれません。
欧米圏では特に、アジア人は白人の中で人種差別の対象となることがあります。
これはなかなか日本に居たら感覚としてわからないことではありますが、その中で自身がしっかり英語で冷静にピシャリと、相手に物言いをできるかどうか、そこが実は一番、大切です。
英検1級を取ったとか、TOEICで高得点を取ったとか、決してそこで安心はせずに、それらの能力をフルに活用し、しっかりと相手へ冷静に英語で主張できるスキルの方を、鍛えておいた方が良いと思います(笑)。
—-りりさん、ありがとうございました!
【まとめ】海外移住 就職は、日本での準備が10割
ピークりりさんが乗り越えた壁は、想像するよりも大きかったはずだ。
僕は、米国の半年を除き、基本的にはドバイや南アなど、英語を母国語としない多国籍な国々で仕事をしてきたため、お互い非ネイティブスピーカー同士、発音を気にせずにコミュニケーションを取れる。
しかし英国は、使用する英語や教養レベルで人を判断するという一面があり、言葉の壁、文化の壁を考えると、日本人が移住する国としてはかなりハードルが高い。
英国の企業に就職することも、就職先や生活で馴染むのも、早々簡単ではない。
そんな環境に、海外経験もないまま移住した準備力、胆力は素晴らしい。
そしてしみじみ感じる点が英国の働き方や労働観で「残業や週末出勤は能力不足」という烙印を押されるという点だ。
日本では、残業や週末出勤をすることで「頑張っている、やる気がある」とみなされるため、この価値観の違いは理解しておく必要がある。
海外で活躍するために必要な「異文化理解」について参考記事(【必読】異文化理解はなぜ必要なのか?理由7つ|異文化理解8つの指標も解説(事例あり))を置いておく。
最後に、ピークりりさんのメディアを紹介して体験談を締めくくります。
記事は以上です。