こんにちは!南アフリカの自動車マーケッター x MBAホルダーのマサ (@mappyinME) です。
アフリカって”Next Frontier”と呼ばれて久しいけど、特に有名な南アフリカってどんな国なの?治安も悪いと言われているけど、実際生活してどうなの?
こんな疑問に答えます。
僕は2021年4月から南アフリカへ駐在しており、国内外の主要都市・地域を日々歩き回っています。
・南アフリカの基礎情報
・指標と、生活している人から見た南アフリカでの生活の実態
南アフリカのデータから分かる情報だけでなく、実際に現地に生活していて気付く事柄も、併せて紹介します。
南アフリカはどんな国?世界一治安が悪い国の実態を5つの指標で解説(南ア現役駐在員が語る)
南アフリカはどんな国?
南アフリカは、アフリカ大陸の最南端に位置しており、鉱物資源が豊富な国です。(下の地図の緑色の位置)
首都は3つ存在し、プレトリア(行政首都)・ブルームフォンテイン(司法首都)・ケープタウン(立法首都)です。
3つに分けた理由は、それぞれ独立した機能がお互いに干渉しないこと、一極集中のリスクを分散させるためだと言われています。
以下、僕が生活していて感じる南アフリカの魅力的な点・改善点をそれぞれ3点です。
それでは南アフリカの概要と、それぞれの点を数字で見ていきましょう。
概要①:南アフリカの年間旅行者数
コロナ前まで、南アフリカへは年間約1,000万人が訪問しました。
南アフリカの年間訪問者数
出典:Statista Number of overnight international tourists in South Africa from 2012 to 2021
2015年の国別の旅行者統計は以下の通りです。
出典:Wikipedia
南部アフリカからの渡航者が圧倒的に多いですね。
推察するに、南アフリカへ観光ビザで入国しそのまま南アフリカで仕事を探す人が大半だと考えられます。
加え、観光業を営む目的で、南アフリカ⇔南部アフリカ諸国を何度も往復する人もいるので、その影響も大きいと考えられます。
概要②:南アフリカの人口、民族と宗教
人口は2023年で約6,000万人で、国連の統計によると2050年には約7,300万人になると言われています。
アフリカ全体では2050年には約25億人、世界の4人に1人がアフリカ人となる見込みです。
宗教は、80%がキリスト教で、残りがヒンズー教、イスラム教などで構成されています。(JETRO)
民族構成は以下の通りとなっています。
アジア系はインド人が多いです。
インド人は、19世紀後半から20世紀にかけてイギリス統治下のインドから南アフリカに移住し、ダーバン周辺に居住しています。
南アフリカでインド人は、インド国外で最大の印僑コミュニティを形成されていると言われています。
インド人は、17世紀にオランダがケープ植民地を設立する以前から、南アの東海岸で活動していたと言われています!
概要③:南アフリカの経済
南アフリカは、他のアフリカ諸国と比較すると、サービス産業が突出して高くなっており、日本や他の先進国と同レベルとなっています。
サービス産業のメインは、”Community/Social Services(18.6%)”、”Distribution Services (14.5%)”、”Business Services(11.2%)”となっています。
他の主要な経済指標は以下の通りです。
1人当たりGDPはアフリカでトップクラスの水準である一方、格差(ジニ係数)は0.63と世界ワーストの数字となっています。(参考:Gini Coefficient by Country 2022)
一方で鉱物資源が豊富で、プラチナ・クロムの産出量は世界トップ、マンガンは2位、金は5位となっており、経常収支(輸出-輸入)はプラスとなっています。
南アフリカは豊富な鉱物資源や観光資源、人的資本があるためアフリカトップクラスの経済力を有していますが、ポテンシャルはこんなものではないと思っています!
概要④:南アフリカのインフレ率は4.5%(2021年)
南アフリカでは、2021年に4.5%インフレしました。
過去10年、同程度のインフレーションが計測されています。
南アフリカ:過去10年のインフレ率
出典:Trading Economics “South Africa Inflation rate”
ただ2022年後半は、ロシアとウクライナの戦争による原油・資源の価格が高騰によりインフレ率が8%程度と大幅に上がり、上の表にも表れています。
輸入品の価格が上がっただけで、南アフリカの企業の利益には全く貢献していないため、従業員の給与は上がらず、生活をより苦しくさせる「悪いインフレ」です。
現地で生活していても、特にガソリン価格や日本食料理屋の価格高騰はとんでもなく高くなり家計を直撃しています。例)日本料理屋の定食 ZAR 180(21年4月)→ZAR 320(22年8月)
概要⑤:南アフリカはビジネスのやりやすさランク84位(2020)
世銀が発行している”Doing business”というレポートがあるので、こちらを紹介します。
10の指標がそれぞれランキングされており、各国でビジネスがどの程度やりやすいか、分野別に指標を設けています。
出典:Doing business 2020 South Africa
南アフリカは、190か国中84位に位置しています。
100位以下の悪い指標は、以下の5つです。
詳しい情報は、以下のサイトに記載がありますので、興味がある方はご覧ください。
さっくり概要を知りたい方は、ページ4にサマリが掲載されているので、是非読んでみてください。
南アフリカの改善点3つ
・改善点①:南アフリカの失業率は34%
・改善点②:南アフリカは慢性的な電力不足
・改善点③:世界の犯罪首都のヨハネスブルグ
1つずつ見ていきましょう。
改善点①:南アフリカの失業率は34%
南アフリカの高い失業率は、アパルトヘイトの影響です。
アパルトヘイト当初に教育を受けられない黒人層が、新世代になっても職を得ることが出来ず、日銭を稼ぐ目的で強盗を行う、もしくは犯罪組織に取り込まれてしまうという構図です。
黒人層の失業率を下げるため、南アフリカでは黒人優遇策のBBBEE(Broad-Based Black Economic Empowerment )という法律が施行されています。
この政策では、以下のスコアカード(表1)で企業を評価し、格付けレベルを及び認定水準を決定します。
外資系を含む民間企業のB-BBEEの遵守は強制ではありませんが、政府機関および国有企業の公共調達の入札参加や、国からの許認可(例えば採鉱許可)の取得・更新などには、スコアカードの獲得点数により付与される後述の格付けレベルの取得(表2)が要件となっています。
BBBEEの参考:EY 「情報センサー:南アフリカにおける黒人経済強化政策(B-BBEE)の概要について」
まだ高い失業率が続いていますが、法律が施行されてから“ブラックダイヤモンド”と呼ばれる黒人中間層が増加し、南アフリカの経済を押し上げています。
改善点②:南アフリカは慢性的な電力不足
南アフリカでは慢性的に電力が不足しており、日常生活に多大な影響を及ぼしています。
多い時だと1日の1/4である6時間ほど電気がないこともあり、パソコンの充電が切れ、仕事にならないことが往々にしてあります。
詳しくは、以下の記事にまとめていますのでご覧ください。
改善点③:世界の犯罪首都のヨハネスブルグ
南アフリカは、世界トップクラスに治安が悪い国です。
実際にどんなレベルか、南アフリカの四半期の犯罪発生件数を見てみましょう。
出典:在南アフリカ日本大使館 「南アフリカ共和国犯罪発生件数 2022.7-2022.9」
“Serious Crimes(重大な犯罪)”が、報告されているだけでも4,376件/日も発生している、世界有数の犯罪大国です。
南アフリカでは、特定の地域を除いて街の中を歩くことが出来ません。
特にタウンシップ(不法居住地)やヨハネスブルグ・プレトリアのCBD(Central Business District)、ケープタウン郊外などは、街中を歩こうものなら即強盗に遇います。
場所によっては、夜に車を運転しているときに、信号で止まらないことも普通にあります。
ヨハネスブルグは「世界の犯罪首都」と呼ばれています。
もう1つの深刻な問題は、警察による汚職です。
街中で頻繁に検問を敷いており、飲酒運転や免許不携行を取り締まり、違反者には、釈放することを条件にその場で賄賂を要求することが頻繁にあります。
なお警察は、治安の極めて悪いヨハネスブルグで格安の給与で使い捨てのように働かれている側面があります。
警察からしたら、これら賄賂収入がないと生活が行き詰まるという事情も理解できなくもありません。
警察も露骨に賄賂を要求せず、とにかく話を長引かせて、こちらから賄賂のオファーをするのを待ちます。
南アフリカの魅力3つ
・魅力①:アフリカで最も高い1人当たりGDP
・魅力②:南アフリカは 鉱物資源が豊富である
・魅力③:南アフリカは観光資源が豊富である
魅力①:アフリカで最も高い1人当たりGDP
1人当たりGDPは6,965(JETRO 2021)となっており、アフリカ大陸では6位です。
アフリカの1人当たりGDP(国別)
出典:世界経済のネタ帳 「アフリカの一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング」
失業率が34%、ジニ係数が0.63という世界トップの格差国でありながらアフリカ大陸で6位なので、失業率や格差が改善したら、この数字も大幅に改善すると考えられます。
将来のポテンシャルしか感じませんね!
魅力②:南アフリカは鉱物資源が豊富である
南アフリカは鉱物資源がとても豊富です。
少し古いデータですが、NHK 10th ボックス 地理「南アフリカの豊かな鉱物資源」によると、南アフリカはプラチナ・クロム・マンガンの産出量は世界1位(マンガンは現在は世界2位)となっています。
出典:NHK 10th ボックス 地理「南アフリカの豊かな鉱物資源」
一方で、ダイヤモンドや金も世界トップクラスの産出量を誇っており、過去にはダイヤモンド・金ラッシュが興り、南アフリカ経済を潤していました。
ただし鉱物資源に頼りすぎたせいで、このようなことが起こりました。
1970年ごろには全世界の金のおよそ7割を南アフリカで生産していました。ところが2005年からのほぼ10年を見ると、金の産出量はおよそ半分に減っています。採りすぎてしまったせいです。金の生産は縮小され、職を失う人々が増えました。2016年の失業率はおよそ27%。この国が金の生産と輸出に頼ってきたことも原因の一つです。
引用:NHK for School 「Scene 5 金の生産に頼りすぎてた」
1つの作物や鉱物資源に頼るモノカルチャー経済は基盤が安定しないため、産出量が高いうちに、教育や経済の高度化(工業・サービス産業比率を上げる)が必要ですね。
なお、中国がアフリカの鉱物資源を狙って大進出しており、アフリカ大陸に100万人ほどいると言われています。
ヨハネスブルグ郊外の巨大ショッピングモール「サントンシティ」には、多くの中国人がいます。
魅力③:南アフリカは観光資源が豊富である
筆者撮影(キンバリーのビッグホール。人力で掘られた穴では世界最大)
南アフリカには、年間に1,000万人の外国人が訪問します。
残念ながら大半は不法就労目的の渡航と推察されますが、その要素を除いても、南アの観光資源はとても魅力的です。
南アに訪問する国籍などは別途紹介しましたので、メインの観光地を簡単に紹介します。
先ず南アフリカには8つの世界遺産があります。
特に人気があるのは、サファリで有名なクルーガー国立公園、美しい港町のケープタウン、そして壮観な渓谷のドラケンスバーグです。
更に、毎年10月には約7万本ものジャカランダがプレトリアで咲き誇ります。
その景色は圧巻で、そのために南アフリカに渡航する価値があります!
10月のプレトリアは、ジャカランダに彩られる。
南アフリカの観光記事は以下の通りですので、興味がある方はご覧ください。
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ヨハネスの観光記事(近日中に公開)
おススメ!南アフリカを知るための本
南アフリカに興味がある方が読んでおくべき本を紹介している記事です。
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【まとめ】南アフリカに一度は訪れるべき!
改善点、魅力がそれぞれ際立つ南アフリカ。
日本では想像できないようなことも起こる国ですが、素晴らしい気候とQOL(Quality of Life)を尊重するため、とても働きやすいです。
インフレが常態化してモノの値段が上がっていますが、いまだに物価は比較的に低いため、余裕のある生活を送ることが出来ます。
移住先としても。候補に入れてみてはいかがでしょうか?