こんにちは!南アフリカの自動車マーケッター x 海外MBAホルダーのマサ (@mappyinME) です。
この記事は、「【新興国駐在体験談 vol.1】入社3年目で海外駐在のチャンスを得るまでの道のり(リンク)」の続きです。
「海外駐在ってどういう仕事をするんだろう?」
「ゴリゴリの日系企業に行くとどういう生活が待っているのかな・・・?」
このような疑問にお答えする記事となっています。
それでは見ていきましょう。
【新興国駐在体験談 vol.2】入社3年目で海外赴任したら地獄だった(エジプトの語学研修編)
【エジプト】海外研修1年目:アラビア語研修
先ずはUAEへ
筆者撮影:UAEのドバイ
入社3年目のゴールデンウイーク明けの初日、僕は「Yahoo!探検部」に別れを告げエミレーツ航空に乗ってUAEに向かい旅立ちました。
エジプトへ行く前に、UAEにある中近東・アフリカの統括会社にて赴任研修を受け、2~3か月ほどUAEのアラビア語学校に通うこととなっていたためです。
UAEでは、駐在員や現地の方々にあいさつし一通りネットワークを築いたところで、任地のエジプトへ飛び立ちました。
簡単に言ってますが、UAEに2~3か月滞在してエジプト行くって、短期間で国際間の引越しを2回するわけですから大変でした・・・。(嫌いじゃないけど)
エジプトでのアラビア語研修
筆者撮影:カイロの街並み
現地には駐在事務所あり、エジプトの駐在員の方に家や語学学校を事前に手配して頂いており、非常にスムーズに着任することができました。(ありがたや・・・)
学校は日本人も通う所で、日本人の扱いに慣れていたため、手続きもスムーズ。(その代わり高い)
余談ですが、外語大学や外務省の専門員の方など、アラビア語を学ぶ人はエジプトに来ることが多く、多くのアラビスト(アラビア語を解しイスラム教に理解がある人のこと)の友人と出会いました。
ここでの生活はとてもシンプルで、朝から昼過ぎまでアラビア語の学校でほぼ個別のアラビア語指導を受け、残りの時間は予復習やエジプト人との交流に充てる、こんなイメージですね。
ちなみに・・・アラビア語は世界3大修得困難言語言われており(残りはロシア語と日本語)、1年でビジネスレベルを身に付けるのは相当難しいです。
期間の短さや焦りから、週6回授業を受けさせて頂くよう会社と交渉し快諾して頂きました。
アラビア語研修時代のスケジュール
毎日5~6時間の授業に2~3時間の予復習をしていました。
結論、これを1年間続けることで、新聞を読んだりニュースを聴くレベルにまで向上しました。
研修の仕組みも人事へ提案
語学習得に加えて、新しい研修の第1期生ということもあり、「アラビア語研修の枠組みや仕組み」も人事へ積極的に提案していました。
例えば、
・UAEへの2~3カ月の滞在は必要か
・住居や語学学校の紹介、1年の語学習得の目標設定、など
自分の頭で考えながら、日本の人事と一緒に研修を作り上げていく感覚がとても新鮮で面白かったですね。
正直、既在のビジネスをマネジメントするより、手探りで色々トライし、経験しながら1つずつ積み上げていく仕事の方が、僕の性に合っていると感じました。
現地の生活調査の開始
こんな生活を続けているうちに約6カ月が経過したところ、日本からのアラビア語研修生が2名エジプトに来ました。
ここからは、まさかの3人で同じアパートに共同生活。
色々情報を交換しながらアラビア語学習に精を出していたところ、UAE事務所の社長から提案が。
現地(UAE)社長:
3人いるし、現地の生活調査レポート作ってみないか?家電は生活に根付いたものだし、エジプトの市場規模は大きい。商品企画に活かせる。
この時、残り3か月だったので以下の通り提案しました。
1カ月目:「衣」
2カ月目:「食」
3カ月目:「住」
承認をもらい、3人で手分けして情報を収集。
僕はかなりエジプトの生活に使っていたので、知り合いやコネも多くありました。
なので僕は、カイロ大学(小池百合子氏の母校!)の授業でアンケートを取ったり、エジプト人の友人の家に数軒おじゃまし冷蔵庫の中を見せてもらったり(!)、結婚式に参加したり、レストランのおじさんにインタビューしたり、とにかくなんでもやりましたね。
友人宅で台所を見せてもらう
結果、エジプト人のかなりリアルな実生活に基づいたレポート、及び商品改善提案になったと思っています。(最終的に、商品企画提案まで行ったけどNGになったとか・・)
革命の翌年なので大規模デモも頻発・・・
筆者撮影:タハリール広場のデモ風景
ちなみに2011年半ばにエジプトに渡航しましたが、前年に革命が起きて政治は不安定。
何度も緊急事態宣言が出たり、外から銃声が聞こえたり、近くで暴動・強盗が起きたりと、なかなかエキサイティングな時期でした。
この時から、危ない所の「ニオイ」の察知能力が高く、危険を招く行動を避ける習慣が身に付いた気がします。
そしてサウジアラビアへ
このようにして、密度の濃いエジプトでの語学研修が終了しました。
卒業証書を受け取る筆者
学校を卒業するころ、UAEの地域統括オフィスと面談し次の任地のアナウンスメントがありました。
現地(UAE)社長:
サウジアラビアが売上、将来性ともに最も大きい市場。所長を1人置き、駐在事務所を立ち上げるので、一緒に行って立ち上げてきてほしい。
お気づきと思いますが、もう業務研修の内容ではありません。笑
むしろ、中堅社員がやるようなアサインメントを僕のような未経験の従業員に任せてくれるその姿勢に、胸がアツくならないはずがありません。
人生で最も大変な、濃い、だけど最高に充実した1年の始まりです。
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語学研修を終えて
1年間で学んだことは数多くあります。
まずは、「アラビア語」と「イスラム教」について。
世界の70%の人間が何かしらの宗教を信仰している世界において、宗教の知識は必須です。
エジプトでイスラム教を学びながら、同じ啓典宗教であるキリスト教やユダヤ教についても、深く学ぶことができました。(もちろん沢山の書籍も読みました。)
宗教理解とは、グローバルで活躍する人間が必須とする「多様性理解力」の大きな一部分を占めるため、理解を深められたのは、今後の人生においてかなりの利益をもたらしてくれています。
宗教がなぜ重要か?について参考記事
2つ目は、自身で何かを作り上げたこと。
例えば、市場調査。こちらは試行錯誤しながら、「衣食住」という切り口を提案し、実際に足を動かして市場調査を実行した事。
そして語学研修のスキームを人事と一緒に考えられたことも大きいですね。
3つ目は、「危機管理能力」を身に付けたことです。
滞在している国で暴動があったとき、デモが起こったとき、どのように備え、何を優先すべきかを肌で学ぶことが出来たことです。
・「多様性の理解力」の一部である、イスラム教を中心とした宗教について理解を深めたこと
・自分で考え、動き、仮説を立てて提案する力
・危機管理能力
もし自分の会社で、語学研修の機会があれば、ぜひ積極的に応募してみてください。
それでは、Vol.3でお会いしましょう。
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