MBAネットワークの本質とは?「Give」がコミュニティを発展させる|ieビジネススクール 北東アジア代表インタビュー

MBA

こんにちは!南アフリカの自動車マーケッター x MBAホルダーのマサ (@mappyinME) です。

MBAのメリットとして「ネットワーク」と言われることが多いけど、イマイチぴんとこない。具体的なメリットはなんでしょうか?

このような疑問にお答えします。

今回取り上げるieビジネススクールは、スペインのマドリッドに拠点を置く世界トップクラス(2022年QS MBA ranking 7位)のビジネススクールです。

ここ数年、ieビジネススクールは日本での存在感が大きく増し、特にAlumni(卒業生)や在校生の交流が、独自のネットワーク内で盛んに行われています。

今回は、そんなieビジネススクールの北東アジア代表の飯野香さんに、MBA体験談とネットワーク構築・拡大に関して、お話を伺いました。

本記事はこんな方におススメ

・MBAを取得するかどうか悩んでいる方
・MBA取得後、ネットワーク構築を考えている方
・MBA卒業生コミュニティに所属している方
・自分の所属をしているコミュニティを発展させたい方

それでは見ていきましょう。

MBAネットワークの本質とは?「Give」がコミュニティを発展させる|ieビジネススクール 北東アジア代表インタビュー

ieビジネススクール北東アジア代表:飯野さんのキャリア

飯野さんのキャリアは、米系の外資ベンチャーの日本支社から始まり、2008年にieビジネススクールでMBAを取得。

その後、別外資系の企業での勤務を経て、2015年7月よりieビジネススクールの日本オフィスの代表を任されました。

そして2022年9月からは北東アジアのディレクターに就任しています。

MBA取得を目指した理由3つ

飯野さん、本日はお時間ありがとうございます。今日は色々聞かせてください。

ありがとうございます。なんでも聞いてください!

早速ですが、MBAを取得した理由を教えて頂けますか?

理由①:キャリアの幅に不安

大学卒業後、米系ベンチャー企業でエンジニアとして働いていくなかで、「このまま働き続けてもキャリア的に大丈夫だろうか」と考え始めました。

当時、その分野で転職できそうな同業他社は、2~3社程度と限られていたためと、働き方が長時間・不規則であったため、そこから先のライフイベントを考えたとき、仕事とバランスをとれている姿を想像しづらかったからです。

理由②:ビジネスの領域を強化したい

エンジニアだったので、分野は限られるもののITやテクノロジーについては触れてきましたが、ファイナンスや会計、マーケティング、戦略など基礎的なビジネスの知識が欠けていると感じていました。

それらを学べばキャリアに幅を持たせられるのではないかと考え、体系的に学びたいと考え始めていました。

色々と調べた結果、MBAがどうやら求めているものに最も近いと分かりました。

理由③:友人がオランダMBAでに

理由3つ目は、オランダでMBAを取得した友人の話でした。

退職してMBA留学した身近な友人からの話はリアルで、私の背中を押すには十分でした。

既に米系企業に勤め、仕事での英語のやり取りには問題はなかったため、第三言語やアメリカ以外のカルチャーも学ぼうと、非英語圏でのMBA取得を第一に考えていました。

現地でMBAを取得するなら、英語を使って授業を受けつつ、第二外国語も学ぶ機会も作れるので一石二鳥ですよね!

ieビジネススクールを選んだ理由3つ

キャリアの幅を持たせるのって難しいですよね。次に、数あるビジネススクールからieビジネススクールを選んだ理由はなんですか?

まとめると、ieビジネススクールに決めた理由は以下の3つです。

ieビジネススクールを選んだ理由3つ

・理由①:アントレプレナーシップに強い
・理由②:Techやイノベーションの領域に強い
・理由③: ieビジネススクールの前向きで自由な雰囲気

理由①:アントレプレナーシップに強い

ieビジネススクールは、1973年に起業家が創立した教育機関です。

キャリアの幅を広げるという考えの中に、「長い人生のどこかで起業するかもしれない」という選択肢を除外したくなかったのです。

アントレを学ぶことで、既に成長した大企業の経営のみならず、ゼロから事業を創出するノウハウを学べると考えました。

せっかく基本からビジネスを学ぶならば、今でいうゼロイチから学んだほうが良いだろうと思ったのです。

ieでは最初の授業から、いきなり社会課題を解決するビジネスアイデアを出して30分後に発表せよ、というグループワークから始まったのを覚えています。

理由②:Techやイノベーションの領域に強い

理由の2つ目は、Techやイノベーションの領域に強いことです。

ieは最新のテクノロジーやイノベーション分野の授業も当時から多くあり、知識をアップデートすることができるのは非常に魅力的でした。

当時の仕事を通じて、テクノロジーとその言語を理解する事は今後必須になるだろうと感じていたのです。

理由③:ieビジネススクールの前向きで自由な雰囲気

MBAは、欧州のいくつかのビジネススクールを受験しました。

有難いことに、受験したスクール全てから合格を頂いて、フランスのとある学校に行こうと、まさに入学金を払おうとしていました。

そのことを友人に話すと、絶対にキャンパス訪問をした方が良い」と強く勧められ、下見も兼ねて欧州へ渡航しました。

どの学校も素晴らしかったのですが、最後に訪問したIEで、授業後に教室から出てくる学生たちがにぎやかにハイタッチをして楽しそうに出てきたんです。

キャンパス全体に活気がみなぎり、学びを楽しんでいる姿、そして案内してくれたスタッフもカジュアルでオープン、「このコミュニティに属したい!」と思ってしまいました。

最後は雰囲気で決めてしまいました。笑

きっと、どの学校にいっても素晴らしい経験ができたとは思います。

それでも、最後にあの雰囲気で選んだことは良かったと今でも思っています。

ieビジネススクールの卒業生ネットワーク

過去3~4年で、日本ie MBAネットワークの拡大は目を見張るものがあります。飯野さんがMBAネットワーク拡大の際に心がけていることはなんでしょうか?

ありがたいことに日本から毎年入学者がおり、拡大していますね。おそらくどの教育機関でもそうですが、母校のネットワークというのは一生ものであるため、学校が存続する限り拡大する一方であるのが特徴です。ieでは自律的なネットワークを目指しつつ、拡大してもそれぞれの関係の密度を保ちたいと考えています。

拡大しても密なネットワークを目指す

特に気を付けている点は、人数が増えても関係性の密度が低くならないことです。

ネットワークが大きくなりすぎて、自分の同期以外にいったい誰がいるのか分からないし、知らない人に連絡も取りづらい、という事態は避けたいです。

その為には、様々な仕掛けとメンテナンスが必要なんです。

まず皆が集まれる機会やイベントを積極的にオフィスの我々が企画し提供するように心がけています。

ieはキャンパスこそマドリッドとセゴビアにしかありませんが、世界各地にオフィスが配置されています。

母校のキャンパス所在地であるスペインにいなくても、66,000人の卒業生が地元で交流できるようになっています。

ひとりひとりを把握すること

ieビジネススクールでは、出願前に必ず候補者の方と面談します。

私達はそこから始まり、出願、合格、入学、卒業と一連のStudent Journeyを通じてその方のバックグランドや興味関心を理解していきます。

出来る限りひとりひとりを理解していくと、卒業生ネットワークは単なる数ではなく、それぞれのストーリーの集まりに見えてくるんです。

起業や業務関連で相談してくれる卒業生の方には、課題解決のヒントになりそうな他の卒業生を紹介したりします。

コロナ禍の試行錯誤

順調に交流をしていたコミュニティですが、2020年初旬に発生したパンデミックにより、対面の交流の機会がなくなってしまいました。

ieビジネススクールのオンラインMBAの歴史は長く定評があるためパンデミック下で日本から希望者は増えましたが、卒業生コミュニティの活動はなすすべもなく停滞しました。

苦肉の策で、オンラインで飲み会やクイズ大会などを実施しました。最初は良かったのですが、だんだん「これじゃない感」が出てきて。笑

卒業生がネットワークを重視する理由のひとつには、「偶発的なポジティブな出会い」への期待があると思います。

それは飲み会でなくてもできるのではと考え、Slackでコミュニティのプラットフォームを作ろうと考えました。Slackの仕様に詳しい卒業生有志数名を募って、彼らに相談しながら一緒に立ち上げました。

もともと他のソーシャルメディアをコミュニティ運営に使っていたのですが、使いづらい点もあって。

ビジネスの特定分野についてピンポイントで誰かに相談したい場合、そのやり取りがいちいちコミュニティ全員に通知される必要はないですよね。

その点Slackはとても便利で、ビジネスや授業、育児や人生相談など、関心分野ごとにサブスクライブできます。

全員に通知がいくわけではないから何かを書き込むことへのプレッシャーも少ないし、また、ieに進学が決定した人しか招待されないため、全員身元の知れたie生という安心感があります。

オフィスは招待関係以外、管理していません。

有志の方々が当初数か月、使い方やポリシーなどリードしてくれましたが、現在は自律的に運営されています。

パンデミックがなかったら、こんな繋がり方を思いつかなかったかもしれません。

今後のMBAネットワークのあり方

先に説明した通り、我々が卒業生の方を知っているということがコミュニティのつながりに役立っている部分はあります。

つまり属人的で、継続性や再現性がありません。

今後は、よりシステム的にコミュニティ運営方法を考えていく必要があります。

MBAネットワークのメリット3つ

最後の質問です。飯野さんが考えieネットワークのメリットはなんでしょうか?

メリットは2つあります。1つは本当の人脈を形成できること、2つは仲間から受ける刺激です。3つ目は、後ほど説明します。

メリット①:本当の人脈を形成できる

人脈とはそもそも、自分を支えてくれる人たちだけではなく、自分が支えることができる人たちもいることで初めて成り立つと考えます。

幸い、ieビジネススクールの日本コミュニティは自分が助けてもらうだけではなく、他の人の助けにもなりたいと考える人が非常に多いです。

企業勤めであろうと起業した人であろうと、起業家精神の強い方が多いからかもしれません。

なにかを新しく始めようとする人は、持てるリソースが限られていることが多いです。
ieの授業を通じて、あるいは実際に自分が起業を経験して、リソースが限られているということがどういうことかを分かっています。

そこで卒業生コミュニティに困り事やサポートしてほしいことを呼びかけると、必ず協力を申し出てくる人が出てきます。

例えば、弁護士、ベンチャーキャピタリスト、テクノロジーに強い人材、事業開発のアドバイザーなど、多様な人材がそれぞれの専門・得意分野を生かして助言やサポートしたり、あるいは実際に仕事としてつながったりしています

一見、起業家の方がサポートを受けている一方通行と思いきや、協力を申し出てくれる人も、いずれは今度自分が誰かから支えてもらうことがあります。

実は、教育機関は卒業後の人生の方が長いので、どこかでちゃんと返ってくるはずで、特にieはその可能性が高いネットワークだと思います。

メリット②:仲間から受ける刺激

もう1つのメリットは、MBAネットワークから刺激を受けることです。

人間は、所属しているコミュニティの影響を強く受けます。

他人への貢献を惜しまないコミュニティいれば自分も貢献したいと考え、皆が起業をしていたら自分もいつかチャレンジしてみたいと考えます。

キャリアだけではなく、考え方、ものごとのやり方、時間の使い方など、徐々に影響を受けてくるものです。

ieのネットワークは、皆さんが持たれている素晴らしい資質、華々しい学歴や職歴もさることながら、オープンで、謙虚で、心優しい人たちが多いのです。

個人的に、私が十数年前にキャンパス訪問で感じた「ここのコミュニティに所属したい」と思う気持ちは、あれから一ミリも変わっていません。

幸いなことに、本校のネットワークから刺激を受けて、新しいことを始める方も多くいらっしゃいます。

僕も、ブログで発信を始めたり異文化理解講座を立ち上げたのも、ieの日本ネットワークに刺激を受けたのがきっかけでした!

メリット③:MBAネットワークから就職先が見つかる?

卒業前や直後の就職活動ではネットワークを大いに頼りにすることもあるでしょうが、ieの皆さんはそこから後に続く人にGive backしてくれています。

Give and Take、のGiveを意識している人がとても多いと思います。

Giveが多いコミュニティのイメージ図

見返りは特に期待せずに「Give」を誰かにして、そのGiveされた人が、また別の人に「Give」をする。

幸いなことにこのような考え方を持つ方が多いコミュニティですので、彼らが今後も密につながっていける運営をしていきたいと考えています。

飯野さん、ありがとうございました!

さいごに

ieビジネススクールの卒業生ネットワークは、日本の中ではかなり活発なMBAコミュニティです。

卒業してからも、新しく入学する方に経験を共有したり、スクール紹介の際に卒業生として登壇したり、セミナーに参加したり・・・活動は無限にあり、枚挙に暇がありません。

高額な授業料を支払って取得するMBA。

知識を得るだけではなく、スクール選びの項目に、今後も続いていくネットワークも考慮してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

▶大手グローバル企業で入社3年目に海外駐在に選抜され5カ国7年超駐在し、新興国で挑戦し続ける▶一刻も早く海外に出るため、英検1級/TOIEC 925を含む資格を11個取得。世界トップランカーのieビジネススクールでEMBA取得▶6年で3回昇格しマネジメントへ。マーケティング部長として多国籍チームを率いる▶グローバルで活躍する日本人を増やすため、グローバル人材育成プログラムGlobal BootCampを開発・主催。

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